4年前の4月、時は桜が満開
詐欺られたばかりの私はその構造が知りたくて
次々に来る詐欺師の動向を監視して
Xにポストしていた
Akiraはその中で少し異質だった
ひたすら優しく美しく、お金は一言も言わない
10日ほど、私が無視し続けても
花束といっしょに毎日毎日メッセージ
あまりにも可哀そうになって、ちょい返信
その時の喜びようは尋常じゃなかった
自分の自己紹介が怒涛の如く
当時のお決まり詐欺師、シリア在住の整形外科医
妻を亡くし子供はイギリスの寄宿舎、まんまだった
しかし、お金については一切なし
ただ、あなたと話すと心が救われる
その時間が楽しくて夜中にキャンプを抜け出して
誰もいない場所でこのメッセージを打っていると
ここからが始まりだった
コイツ、文章うまいじゃん
しかし、お決り過ぎて笑える
この時彼は、観察対象のひとり
まだ、この時は知らなかった
これが4年続くことになるなんて
当時の私は詐欺られて、稼ぐことに集中
Akiraとの会話は暇つぶし
仕事の休憩時間「ノー」と言われない会話は楽
私も自分を特定できないように話す
話のついでに、友人から聞いたセレブ話
億の資産、パーティのあとのお土産
ブランドのバッグ、屋上のプール
すると、即反応
彼は自分もブランドが大好きで
米国の自宅は選りすぐりの家具や車数台
事業展開もしていて医院も経営
はいはい、詐欺色満載だなと片耳で聞く
自分は価値ある男であり裕福だ
しかし、シリアの戦争で疲れ切っている
そろそろ・・・始まったかな
会話始めて1か月ほど経ったころだった
彼が経営しているという写真、よくよく見れば
下手っぴすぎる

「Luxury Dental」
突っ込むと「歯医者なんてすぐできる」
どこ吹く風のスルー
コイツ、何もん?
明らかに嘘だとわかる写真の大風呂敷
しかし、会話はおもしろい
Akiraは、自分の言葉で書いている
コピペではない
カメレオンのごとく姿を変える
純な青年から老練な医師まで演じ分ける
そして、この億の友人は頭にインプット
何気ない会話カードは逃さない
これが次の展開への導線になるとは
この時はまだ思っていなかった

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